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夕陽の光が教室に差し込み、丁度日の当たる場所に座っている私は眩しくて仕方ない。だけどそれは隣で私をジーッと見ている吹雪くんにも言える話だと思うんだ。だけど吹雪くんは全く気にしてない様子だった。それよりも私のことじっと見てるなんて、恥ずかしい気持ちと疑問に思う気持ちが入り交じっているよ。見られると、手が進まない。


「吹雪くん、こっち見るの辞めて」
「どうして?」
「何でもいいから。っていうか帰らないの?」
「名前さんと帰るから」
「…はいはい」


そんなこと言ってたら、きっと6時くらいまで帰れないかもしれないよ。もちろん、帰ろうと思えば簡単な話だ。でも私は嫌なんだ。
数学のテストでかなりヤバイ点数を取ってしまった。赤点にならなかったからまだいいものを、先生に大量の課題を出された。これを家で悲しくせっせとやるなんて、絶対に嫌だ。学校で終わらせてやるんだから。


「ねぇ。どうして数学ってこんなにも難しいんだろうね」
「世の中にはもっと難しいことがいっぱいあるから。数学なんて小さいよ」
「…例えば?」
「愛、とか?」


大丈夫か吹雪くん。飛び出しそうになった一言を押し込め、彼の顔をまじまじと見つめる。吹雪くんは少しだけ恥ずかしそうな素振りを見せたものの、あんまり気にしてないみたい。そんなクサい台詞、よく言えるね君。


「じゃあサッカーは難しい?」
「まぁ難しいと思うよ」
「愛より?」
「んーそこはどうだろうなぁ…」


数学よりも難しくて、愛よりも難しくて、サッカーよりも難しい。それって何だろう。そう悩んで、でも辞めてしまった。結局は何でも、身近にあるもので、悩む必要性なんて何処にもない。だから吹雪くんはいちいち変なこと言わないで。私を惑わせないでほしい。
じゃないと本当に、帰れなくなっちゃうよ。本当はこの短い時間が、いつまでも続けばいいなんて思ったけど。


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