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お前は問題児だねぇなんて、よく名前の母親に言われた。その場でじっと止まっていることの出来ない僕は、確かに何かしら動いている。その度に、花瓶を割ってしまったり、窓を割ってしまったり。確かかに問題は起こしていた。
ねぇ名前、僕は問題児なのかなぁ。この家に、いない方がいいのかなぁ。僕、あなたたちに迷惑をかけてるだけなのかなぁ。もしそうなら、やっぱりここから出てこうかなぁ。


「ん、どうしたの?ゴマゾウ」


名前は振り返って、そっと僕に微笑みかけてくれた。名前は僕が問題起こしても「ゴマゾウ、またー?」と言うだけで、怒りはしない。それが少しだけ、怖かった。本当は僕に言いたいことがあったんじゃないだろうか。ぶつけたいことが、あったんじゃないのだろうかって。
だけど僕の小さな呟きが、名前に届くことはない。だって人は僕らの言葉、理解できないんだもん。結局は何も始まらず、何も終わらないで、終わるんだ。結局、僕はいつも不安の中にいるんだよ。


「そういえば、ゴマゾウ。また昨日食器割ったでしょー」


だから、何だよ。ついに僕を怒る?


「ホント気をつけなよ。ゴマゾウが怪我したら、笑えないよ」


元から笑えないって。


「気にしちゃダメだよ。食器の一個や二個ぐらい、壊してお母さんを怒らせておけばいいんだって。ゴマゾウは心配しなくていいよ」


まるで僕の不安を溶かすように、変わらぬ微笑みで名前が呟いた。そんなこと言われても僕の不安は簡単い消えたりしない。だけど、その言葉に救われた。すごく、嬉しかったんだ。ありがとう、ありがとう、本当にありがとう。名前のこと、大好きだよ。


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