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※変態なユウキ君だから、キャラ崩壊してるかもしれません。
あと内容が少しお下品。
とってもおいしいリクエストありがとうございました。でもなんかごめんなさい。





























大変なものを見てしまった気がする。後悔することはもう少し前のことなのに、いま目の前に広がっているものを見ているだけで、少しだけの呆れと軽蔑、そして大きな驚きを抱いてしまった。兄の部屋なんかに迂闊に入るもんじゃない。そう、入ってはいけなかったのに。母親の「これお兄ちゃんの部屋に持って行ってくれない?」という頼みを無視することはできなかった。それもまた、ただの言い訳に過ぎないけれど。
急いで会談を駆け下りて、困ったとき誰のもとへ行くべきかを思考に巡らせた。悲しいときも泣いたときも、嬉しいときも楽しいときも、わたしはまずユウキ君の元へ行く。なぜなら彼の隣が、一番落ち着くから。

「ユウキ君!」

名前を呼んで、部屋に入り込んだ。読書中だったらしいユウキ君は、わたしを見るなりまた来たな、というような目で見てきた。切れきれの息を肩で整えるのを見ると、きっと彼はまたわたしが面倒なことを持ち出したと思っているに違いない。……なぁその考えを否定することもできないけど、話を聞いてほしかった。

「ねぇユウキ君聞いてよ!どうしよう!」
「何、何だよ」
「おおおお兄ちゃんがね、変な本、も、持ってたの……!」

それはわたしにとって一大事だった。部屋に入ったとき、不自然な部分を感じさせないくらいふつうに机の上に置かれていた本。一目見た瞬間、逃げることを決意したほどだ。わたしはきっと、まだ何も知らないんだ。

「で、どんな本だったの」
「……そういうこと聞くの?酷い」
「まぁ想像はつくけどね」
「……あ、あの、ゆユウキ君はああいうこと、したことあるの……?」
「何それ。浮気調査か何か?」

自分でも何を口走っているのかと混乱してしまう。だけどユウキ君は少しだけ笑って、わたしの頭を撫でてくれた。そういう優しいところが好きだからこそ、今の質問はなかったことにしよう。「やっぱりいい、忘れて」さっきまで慌てていたことなんてなかったかのように、天井を仰いでみた。わたしもさっきのことなんて、忘れてしまえばいいんだ。

「でも、興味がないわけじゃないよ」
「え、……え?」
「ねぇ名前、キスしようよ」

どうしてしまったのだろうか。何処か、頭を打った?ともかく、ユウキ君がおかしい。普段こんなことを言う人じゃないのに!むしろわたしから迫ったって、冷たい目線と呆れた態度で返してくるというのに。驚いているのも束の間、その唇は塞がれてしまった。
久しぶり、だろうかユウキ君とキスなんて。最初は触れるだけのそれも、いつもと違う味を帯びてきたのは言うまでもない。やっぱり今日は何処か雰囲気がおかしい。

「ゆ、ゆゆゆユウキ君!え、あの、どうしたの?!」
「名前って触り心地いいよな」
「え?!」
「こうさ、抱きしめると、改めて抱き心地もいいって分かるよ」
「え、ええ?!ユウキ君?!」

こうして求められるのは嫌いじゃない。むしろ好き。だって普段はこんなことないんだから。だけど、何処か手が早くはないだろうか。変なところ、触られてないだろうか。気持ちが集中しない、混乱で思考が回らない。

「ちょ、ちょっと一回離れようよ」
「言ったじゃん。そういうことには興味ないわけじゃないって」
「……ゆ、ユウキ君は、わたしと、そういうことしたいって言うの?わたし、だってお兄ちゃんの本に載ってた女の人みたいに、む、胸大きくないし、分かんないし……」
「気にしなくていいよ。俺胸は小さい方が好きだから」

一言一言振り絞るのがこんなにも恥ずかしいというのに、ユウキ君はわたしの必死の思いを一捻りするかのように、簡単にその言葉を口にした。なんて、羞恥心がないんだろう。なんて、なんてデリカシーがないんだろう。わたしは別に、胸の大きさどうこうを聞きたい訳じゃなかったのに!
ありったけの力を込めて、迫りくるユウキ君の身体を押し返した。離れていく表情を見届けると立ち上がり、急いで部屋から出る。ユウキ君は追いかけてこなかった。何よ何よ、何も言ってくれないなんて!

「ユウキ君の変態!この、ばか!」

それがわたしの言える最高の言葉だったんだろう。あとのことはあまり覚えていない。ユウキ君の行動が急すぎて、まだ何も頭は理解しきってない。でも多分、明日も変わらずユウキ君に会いに来るんだろう。彼なしの日々は、まだ考えられない。



「名前の奴……何が変態だよ、普通だろうが」



/あんこさん
変態なユウキ君


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