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思い出に残るあの場所に、最後訪れたのはいつの日のことか。よく笑い、泣き、わたしの中にあるひとつひとつの感情が育まれたのはあの場所からに違いない。幼い頃あの日、彼に贈った花冠と約束はきっと、彼の中には残っていないだろう。わたしだけが覚えている、そんな褪せた記憶も今は寂しいだけだ。あんなに泣き虫で弱虫だった……リョウちゃんも、今はあの有名な四天王だなんて、未だに信じられない。
四天王になってからのリョウちゃんにはまだ一度も会っていない。理由もなければ機会もなく、ましてや会いたいという感情さえも浮かんでこない。何で今更こんな後悔しているかのようぬ、思い巡らせているんだろう。きっとそれは最近、予想にもしないことが起こったからだ。そうに決まってる。


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