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「っくしょ!」

「…っくし!」

春、花粉症の季節。わたしとあきおはどうもそれらしく、先ほどからくしゃみが止まらない。二人で交互にティッシュを取って合奏みたいに鼻をかむ。くしゃみの音が歌みたいになって、小さなオーケストラみたいだ。

「…なに現実逃避してんだ」

「だってこんな風に思っとかないと花粉症つらい…。ゴーグルの鬼道くんが羨ましいよ…」

はあ、とため息と同時にティッシュを箱から取り出した。あ、もうない。

「あきお、ティッシュ新しいの出して」

「へいへい…あ、」

「何?」

「窓開いてんじゃねえか…」

そういえば肌寒いなと思ったら、窓が開けっぱなしだったのか。新しいティッシュの箱をわきにかかえたあきおが、自分よりもひとまわり大きい窓をカラカラと閉めた。心なしか鼻が少し楽になったような気がする。

「誰だよ窓開けたの…」

「わたし」

「アホ」

「あはは」

さっきよりもゆっくりになったティッシュを引き抜く音。それがだんだんなくなって、しばらくしたらわたしたちはなんとか鼻水が収まっていた。

「よし、鼻水止まった」

「もー今日外出たくねえ」

「わたしは帰らないとじゃん」

また扉開けたら花粉入ってくるんじゃない?とからかうように言ったら、じゃあ帰んなとあきおが言ったから笑えた。今度は鼻の呼吸ができるようになってきたぞ。

「じゃーキスしとくか」

「なにそれ意味わかんない」

「鼻水ダラダラじゃあできなかっただろ。つかしたくねえから窓開けたんだろ」

「ばれたか」

「っは、当たり前だっつの」

「ちぇ」



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はとまめさんの1万打フリリクからいただきました!明生マジかっこいいね。明生にハマれたのはとまめさんのおかげです!ありがとうございました!


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