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女子の会話を興味本位で聞いてみた。だけど結果は吐きそう。何だよあれ、女子っておしゃれとか恋とか、そういう話しかしないのか。うえ、思い出しただけで吐きそう。気持ち悪い、嫌だなぁ何かそういうの。かといって全面的に否定できないのも歯がゆい。だって俺たち男子も、そう大して変わらないのだから。あんまり会話をしない俺は、端から見てそう感じてしまう。何かこう、会話せずとも仲良くできる関係ってないのかな。まぁそんなのは夢見たいな出来事で、きっと漫画とかそういう世界でしかできないことなんだ。だって言葉にしないと伝わらないし、誤解が多々あるんだ。だったらまぁ、何もないように過ごす方が好きな俺は、会話をした方がいいと思えた。だから諦めた。別に元々望んでもいなかったけど。
日直の仕事が一回りしたから席替えしようと先生が言った。授業後のHRの時間に簡単に行われ、おおやったと心の中で感嘆の声を上げた。比較的後ろの席で、これなら何をやっていても教師に見つかって叱られることも少ない。天馬くんは前から2番目だと少し嘆いていたな。そういえばどうして人間って、後ろの席になりたがるんだろう。まぁいっか。俺が別に気にすることじゃないから。


……………
………



次の日学校に行くと、席はもう替わっていた。昨日決まった席は確か窓から2列目、後ろから2番目。うわぁやっぱり見たら何か微妙だ。2つ前には信助くんがいる。距離はあるというのに、信助くんは話しかけてくる。どう反応すりゃいいんだっての。不意に向いてみた窓側には、隣の席の……嗚呼なんて名前か忘れた。誰だっけ。そいつが静かに目薬を差していた。そういえばこいつ、眼鏡かけてたっけ。目悪いのかな。

「目、悪いの?」
「え?」
「目薬指してるからさ」
「……あぁ、うん。まぁね」
「ふーん」

あ、でも目薬なんて指したらマスカラとか落ちるだろ。吐き気がしそうな女子たちの会話を思い出した。中学生でマスカラとか何か苛つく。いいなぁそんなもの買うお金があって!羨ましくてたまらない。一目見りゃ横顔はまだきれいなそいつも、マスカラとかしていると思うと吐き気がする。
だけど、笑って答えた。すっごく、多分かわいかった。

「マスカラなんてしないよ」

よく分かんないけど、何処か見据え、見通して、分かっているような目で語られた。もしかしたら、こいつとなら、会話せずとも仲良くできる関係になれるかも。……なんて何期待してるんだよ俺。アホらし。
やっぱりこの席になったよかった。


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