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「ちょっと、ベルちゃん!またゴミ捨ててない!」
「あ、ごめん!忘れてた」
「忘れてたって、前にもこんなことあったよね?!」
「そ、そうだったかしら…?」
「惚けないでよ!全く、誰が片付けると思ってるの…!」

それが日常で、半ば当たり前となってしまったものだった。マイペースで細かいところに気を止めないベルちゃんと、世話焼きで細かい(とよく人に言われる)わたし。今日もそうだ。食べたお菓子のゴミを捨ててない、前にもこんなことがあって、これが何回目かなんて数えることも面倒になってしまう程。ときどきチェレンくんと一緒にベルちゃんを叱るけど、「ごめんねー忘れてたの!」と言われて終わってしまう。毎度チェレンくんの苦労が分かる。わたしの苦労も知って欲しいけど。

ほら、捨ててよね。そう言うとベルちゃんはゴミを手にして言われたとおりにしてくれた。だけど、またここで、問題が発生してしまう。人の家に遊びに来たんだから、もうちょっとはお行儀よくしてよ!

「ベルちゃん、入れるゴミ箱間違ってる!これは、燃えないゴミ!」
「えーでも結局一緒じゃない?」
「一緒じゃない!ちゃんと分別する、いいね?」
「はーい」

いつもわたしが注意やら何やら言っても、可愛らしいその声で返事をしてくれる。だからだろうか、わたしは彼女に本気で切れたことはない。……ううん、多分できないんだ。わたしだって、怒ってばかりじゃダメだって分かってるんだから。ベルちゃんはベルちゃんなりにやりたいことも、やらなきゃいけないことの区別ができているはず。ソファに座り、ひとつ欠伸をしているベルちゃんに近づいていく。お父さんが新しく買ってきてくれたDVDを一緒に見ようという話だったけど、すっかり忘れてしまっていた。

ソファとクッション、途中で眠ってしまいそうなベルちゃんにはお似合いの品々。クッションを手に持ったベルちゃんは、笑顔で言った。「いつもありがとう、名前ちゃん!」今更、どうしたと言うんだ。「いつものことでしょ」なんて無愛想な返事をしてしまっても、ベルちゃんは気にしてないようだった。

「でもいつか言わなきゃ、伝わらないでしょう?」
「それが、今なの?」
「うん、そうだよ」
「ふーん。そっか。じゃあベルちゃん、いつもありがとう」
「え、何でわたしに?」



いつも、一緒にいてくれて。仲良くしてくれて。
ありがとう


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