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そろそろ暗くなってきたから、ブラッキーを家の中に入れてやって、とお母さんが私に言った。その言葉で今がすでに夜の9時だということに気づき、慌てて外に出る。私のブラッキーは1日に1回、外に出てのんびりとした時間を過ごしている。昔から外に出ることが好きな子だったけど、今では夜に出ることを好んでいる。


「ブラッキー!もうそろそろ家の中入りなよー!」


まさかブラッキーから返事が返ってくるなんて思ってはいない。だけどん鳴き声でも出して、今いる場所でも教えてくれればいいと思っていた。まぁブラッキーが鳴いたところなんて、ほとんどないんだけど。


「おーいブラッキー!入っておいでよー!」


しかしいくら呼んでも、反応どころか、気配さえ感じない。もしかして、遠くに行ってしまったのだろうか。いつもだったら呼べばすぐに入ってくるのに。ふっと、不安が頭を過ぎった。自分が考えている最悪の事態にだけはならないで欲しい。そう願いながら。


「ブラッキー!どこにいるのー?!」


カサッ。背後からした何かの動く音に、私は振り返った。そこには、闇に2つだけ赤い目があった。瞬間、私は叫び声を上げてしまった。近づいてくるそれが、今自分が探しているブラッキーだということを忘れて。


「ぶ、ブラッキーだったの?お、驚かさないでよ…!」


ただブラッキーにとっては私に近づいただけの行動だったんだと思う。だけどブラッキーの持つ赤い瞳に、とても驚いてしまった。暗闇に綺麗に光る。時に不気味な程に。だけど、やっぱり呼んだら出てきてくれた。よかった。遠くに行ってなくて…。


「さぁ、帰ろう」


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