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こんにちは、久しぶりだね。そう言った緑の少し跳ねた髪を持つ男性は、わたしに少しずつ近づいてくる。きっとジョーさんんがこの間言ったクルトという人なんだろう。何だ、クルトって男性だったのか。何の期待をしていたのか自分でも分からずに、ただ挨拶にぺこりと会釈をしておく。だけどこの人、今久しぶりって言ったよね。わたしたち、前に一度会っていたっけ。

「えっと、もしかして……僕のこと、覚えてない?」
「あ、えっと、…はい」
「嘘、本当に?」

嘘も本当もない。クルトさんには悪いと思ったけど、わたしの記憶にこんな人はいない。わたしとクルトさんの間の位置にいたジョーさんが慌てて「ちょっとクルト、話があるから来てくれ!」と連れ出してしまった。何だ、挨拶に来ただけなら、お茶だけでも出したのに。帰ってしまうのなら意味がない。
止まっていた手の動きを再開する。今日は一段と、店の入口が落ち葉でいっぱいだった。


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