txt | ナノ

寂しいときや悲しいとき、辛いとき側にいてくれたマツバは、今じゃわたしの中で大きな存在になっていた。会うたびに嬉しくなるし、逆に会えない日は落ち着かない。毎日会うのが普通になってきてしまったら、きみがいなくなってしまったらわたしはどうなってしまうんだろう。なんてね。悲観的に考えても何も始まらない。それに、そんなこときみの前で言ってしまったら怒られてしまいそうだよ。

「ねぇマツバ。何か、欲しいものある?」
「別にないよ」
「本当にないの?」
「ないってば」
「言ってくれてもいいのに…もしかしてわたし、頼りない?」

別にそんなことないよ。だけど別に欲しいものないし、僕は別に名前に頼んでないし。少し冷たいと感じた言葉を、マツバは背を向けたまま放った。人と話すときは、ちゃんと人の目を見ようって、小さい頃習わなかったの?どうしたの、今日はマツバの気分でも悪いの日なの?

「ねぇマツバ」
「、何」
「こっち見てよ。ねぇマツバ」
「うるさいな」

原因が分からなきゃ、わたしはどうすることもできない。だから、本当は気にせずその状態を放置してしまえばよかったんだ。だけど、できない。どうしても知りたくて、それでもって普通にマツバと会話したいと思った。ねぇマツバ。何度も言うからめんどくさい女って思うかもしれないけど、こっち向いて。わたしマツバの綺麗な目、見たいよ。

「そんな恥ずかしいこと、よく言えるよな」
「本当のことだもん」
「僕は無理だからね。言っておくけど」

少し睨んで彼は言う。はて、一体何に対していっているのかが分からない。もしかして、同じようなことを言って欲しいとわたしが思っていると勘違いしたのか。くすり、と笑みがこぼれてしまったのは仕方ない話。だってマツバが素直じゃないんだから。嬉しいなら嬉しいと、言ってしまえばいいのに。



みこちゃんへ


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -