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仕事の合間に地下鉄から抜け出し、会いに来てくれることがすごく嬉しかった。仕事、大丈夫なの?と聞けば、今お昼だし大丈夫やろ、と答えてくれる。彼がくれた缶コーヒーが温かくて、安心する温度。一口含んでから広がる苦い味も好きになれる。


「少ししたらもう行っちゃう?」
「まぁ仕事やしな」
「…わたしも、仕事行かないと」


午後1時にライモンシティの遊園地で待ってるね。と一方的に送った短いメールに答えてくれたクラウドは、横でコーンスープを飲んでいた。温かそうで熱そうにも見えてしまうそれを、クラウドは舌をちろりと出しながら「火傷してもーた」と呟いている。クラウドの手にある缶にはきっと、飲み干せないコーンの粒がいっぱいあるに違いない。残っていた缶コーヒーを飲み干し、お互いに気持ちは仕事へと向いていた。クラウドは鉄道員だからこの場所から近いかもしれないけど、わたしはそういう訳にはいかない。ヒウンシティに勤めているのだから、あの長い長い橋を渡って行かなければ戻れない。冷たい北風は急げと言わんばかりに吹き出してきた。首に直接当たる風が冷たくて寒い。


「マフラーつけやええのに…」
「まだ耐えられるよ」
「そういう問題ちゃうで」
「クラウド風邪引かないように気を付けてね」
「あほ、俺の台詞や」


また後で会えると言うのに。名残惜しそうに動こうとしない体を無理矢理に言うことを聞かせ、背を向けた。また後でな、とクラウドの言葉にやっぱり覚えるのは好きと安心の感情。お互いにもっと子供だったら、わがままも言えるのかな。


「なんかいつも来てもろてばっかやなぁ」
「何で、わたしが呼び出しちゃってるんだから当然」
「んー普通男が迎えに行くやん?」
「別にどっちでもいいよ」


だって会うだけでこんな気持ちになれるんだもん。どっちが迎えに来ようが来まいが関係ない。



こんなんでいいのかクラウドさん…


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