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手を繋ぐことも抱きしめることもキスすることも、何一つ済ませてないのは異常なのだろうか。そもそも、恋人は必ずそれをしなくちゃいけない?分からない、わたしが抱えた問題は一人で解決するには少し力不足。だからといって、誰の力を借りられよう。不安定な心の安定剤のように、わたしを落ち着かせてくれる君だけど、本当は君のことでいっぱい悩んできた。打ち明けるとか相談するとか無理な話。だってそんなの、重いじゃん。
久しぶりに一緒に歩いた帰り道、他愛のない世間話に花を咲かせられても、何気なく広がっているぎこちない雰囲気は隠せなかった。君は立ち止まり、「ん、」と言って手を差し出した。それが何を意味するのか、わたしは分かっていたはずでしょう?だけど、隠したかったのは全部後ろめたくくすぐったい気持ち。


「荷物持ってくれるの?ありがとう、不動くん。お言葉に甘えさせてもらうね」


お言葉なんてもらってないくせに。バカを装い、まるで分かっていないような返事を返せば少し呆れたように「あ、あぁ」と。近づきたい、だけどわたしはそれが怖いよ不動くん。怖くてたまらないんだよ。


きっと溶けない
道を狭くしてるのは、全部自分


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