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「いってらっしゃい叔母さん、楽しんできてね」
本音と綺麗事の混じり合った一言を吐き出し、笑顔で見送った今日の午後、周りから聞こえてくるクリスマスソングがよく響いた。物音ひとつ、立てることを知らないしーんとした沈黙に包まれた家に独り、寂しく聖夜を祝うなんて笑えるじゃないか。まるでクリスマス前に彼氏から振られたOLみたい。悲観的になる必要なんて何処にもなかった。だから今日もわたしは机に向かい、冬休みの宿題をさっさと進める。
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ごめんね、名前ごめんね。何度もそう言って叔母さんは家を出ていった。……そんなに謝るなら、彼氏とクリスマスに約束なんてしないで欲しい。寂しくない悲しくない、嘘だけど。でも弱音を吐いたって、この「ひとりぼっち」の状態がなくなる訳じゃない。知ってるよそんなこと。世界はそう簡単にはいかない、甘くないんだから。一度失ったものがまた目の前に現れるなんて、嘘っぱちだ。だけど溢れる涙を止められる訳じゃなかった。あーあ、泣かないって決めたのに、ごめんねパパ。ごめんねママ。やっぱりわたし、すごく辛いです。
目が覚めたとき、目の前で気持ちよさそうに寝ている人を見て、ここはきっと天国なんだと思った。わたしのことを哀れに思った神さまが、きっと連れてきてくれたに違いない。ばか、そんなこと有り得るわけないじゃん。落ち着けわたし、今この家にはわたししか居ないはず。きっとこれは夢なんだ。試しにその人の頬を強く抓ってみる。すると、パチっと目を覚まし、その人は起きあがった。
「何してんねん!いきなり抓ったりして…うぁ痛いわ、痛いわぁ」
いきなり、なんてこっちの台詞だ。あなた誰ですか。