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名前、と名前を呼んだとき振り返る笑顔に何度も微笑みを抱いた。優しくて眩しくて、何で俺たち付き合ってるんだろうな、って。何度も聞きたくて、疑問に思えて仕方なかったのはきっと、あのときの俺がすごく幸せなときの中にいたから。だから、大切にしたいと思えた、ずっとこのままでいいと思えた。むしろ、このまま永遠にときが止まればいいのになぁって。
部活で遅いときは暑い中でも寒い中でも待っていてくれた。不安だったのは冬だったけど。名前は寒がりで冷え性で、だから長時間外に立たせたくなくて、待っていてくれるなら教室でいいのに。そう言っても、「風丸くんの部活で活躍してる姿、見たいんだ」と甘い一言を漏らし、そうだ、ああいう言葉が嬉しかった。だけど幸せのピースなんて直ぐに剥がれ落ち、何処かへ行ってしまう。平穏を装い流れる時間、遊びに行った名前の部屋は可愛らしく、何だか恥ずかしかった。落ち着けと自分に言い聞かせながら、慌てる様子を隠せない。名前が笑う、くすりと小さく。


「ちょっとそこのコンビニでお菓子買ってくるね。折角風丸くん来てくれたのに、出すお菓子ひとつもないなんて笑えないもん」
「別に俺はいいよ」
「だめだめ、わたしがよくないの」
「まぁ、名前が言うならいいけどさ」


そのまま駆け出そうとする名前を見つめ、薄着と思えた服装に声をかけられずにはいられなかった。冷えた手を掴み、名前を呼ぶ。お前、そんなんじゃ寒いぞ。やっぱり俺が行こうか?なんてさ、一緒に行こうって言えばよかったんだ。だけどお前がくれたのは優しくも思える残酷な一言だったよな。


「きみまで冷たい手になる必要なんてない」
みんな嘘になっちゃえ


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