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これの続きみたいなの


人間に必要なものはなんやと思う?食べ物、水、酸素やろ。せやのになんで家に食べ物ひとつもないねん。買い忘れたって名前…ちょっと最近おかしいんとちゃう?なんやボーッとしてばっかりやわぁ。具合悪いんやったら、寝ててもええんやで。どないするん?買い物、わいが行ってきたろか?優しく聞こえるマサキさんの声がトゲのあるものに聞こえてしまうのは私だけだろうか。そう、きっと私だけ。マサキさんが酷いってことはあり得ないんだから。いつだってその大きな心で私の失敗を許してきてくれた。なのにこんなにも悲しいのは何でだろう。「バーカ、んなことあらへんで大丈夫や」と少し前の静かな夜に囁いてくれた言葉を今でもちゃんと覚えてる。あれから変わらない日々、何も起きない、何もない。退屈なのか居心地がいいのか、それとも飽きてしまったのか。どちらにせよ、心にぽっかりと空いたこの穴を埋める術が見つかった訳じゃない。人間に必要なのは食べ物と水と酸素。だけど、それだけじゃ生きられる訳じゃない。私にはマサキさんが必要だよ。悲しいとき寂しいとき苦しいとき辛いとき、いつも側にいてくれたのはマサキさんで、彼に助けてもらったことなんて山ほどある。そうか分かった、と身勝手なほどにもがいて見つけた答えはあまりにも簡単なものだった。私はいつだってマサキさんを求めていた、求めていたかった。だからぎこちない雰囲気に答えてほしかった。だけどそれ以上のものをすでにもらってるでしょう?


「…いつだってどんな私も、マサキさんは好きでいてくれるんですね」
「名前、なんか言うた?」
「私、どんなマサキさんも好きです」
「なんやそれ。心強いわぁ」


柔らかい微笑みは何度見ようと暖かい気分になれた。そっと私の髪を撫でるとお互いの唇は触れあう。優柔不断な気持ちはどこへ消えたのだろうか。支え支えられる関係に在りたいと願いつつ、支えられているだけの関係が愛しい。私もあなたを支えられるまで強くなったら、あなたはまた笑ってくれるだろうか。また、心強いと笑ってくれるだろうか。そんな不安は杞憂であって、空に消えてしまえばいい。そしたらまた、きれいな青空が頭上を舞う。


君とわたしが繋がった
もやもやが、消えた


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