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チュンチュン、と朝を知らせる鳥のさえずりを聞くと今日1日頑張ろうと元気が沸いてきた。そんなことを昔誰かに言ったら名前は単純だな、って言われたことを覚えいる。今も同じように思うってことは、私成長してないってこと?ううん、今まで遅刻ギリギリの時間に学校に着けば満足していた私が、こうやって朝早く起きたんだ。きっと何処かで成長できてるよ。眩しい光の中、まだ出てこないお隣さんの姿を待つ。倉間くんが玄関から出てきたのは、その30分後の出来事。

「おはよう倉間くん。今日はいつもほど早くないんだね」
「おはよ」
「ちょっと待ってよ倉間くん。何で今目をそらしたの?」

意図的にされたものだと知るのは難しくなかった。足を止め、倉間くんはこちらを振り返る。その顔は微かにひきつっていた。だからなんで朝っぱらからそんな難しい顔してるんだ。つられて私も気分が複雑になっていく。ゆっくりと倉間くんは話し出した。

「…つーか名字こそ、何で俺待ってたんだよ」
「い、一緒に登校したいなぁと思って」
「へぇ。寝起きの悪い名字が…明日雨とか部活なくなるじゃん」
「どーいう意味よそれ!」

頭にきた。せっかく倉間くんのこと待ってたのに、ありがとうとかも言ってくれないなんて。でも、それが当たり前なのかもしれないと気づくと寂しくなっていく。だって私は別に倉間くんに朝待ってて、と言われた訳じゃない。少し苦しかった。
友だちを恋愛対象内にするなら、一緒にいる時間を増やして、もっと自分のことを知ってもらえればいい。水鳥さんが提案してくれたそれは、確かに私も効果的なんじゃないのかなって思えた。だから早速、登下校を一緒にするという行動に出たんだけど……水鳥さん、私早くも折れそうです。


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