txt | ナノ

どうして同じ部屋にいるのに、支配するのは規則正しく静かな音なんだろう。確かに一緒に勉強しようと言ったのは私だし、まだ自分の宿題を終えていないのも私だ。だからユウキくんが携帯を片手に遊び出したって、彼の勝手。だけどあまりにもそれじゃあ酷いんじゃないか?先輩に対する態度としても、恋人への対応としても。ねぇユウキくん、携帯置きなよ。と、注意して返ってきたのは無反応。流石の私もイラッとくるよこれ。


「ユウキくん、無視はよくないよ」
「…え、名前先輩今何か言いました?」
「要するに、何も聞いてなかった訳ね…」


もっとさ、恋人同士の会話ってものがあるでしょうに。だけど今のユウキくんには何を言っても無駄そう。先輩の宿題が終わったら、何でもしてあげますよ、なんて後輩のくせに上から目線。あぁあイライラする!


「ユウキくんはさ、私といて、つまらないの?」
「別にそういう訳じゃ…」
「今私が我が儘言っても怒らない?」
「…はいはい、分かりましたよ。何すればいいんですか?宿題手伝えとか止めてくださいよ」


こいつどこまで私を舐めたら気が済むんだろう。だけど慣れたことだからもう気にしない。キスしよ、キス。と、半分誘うと彼はプッと吹き出し、笑い始めた。意味の分からないユウキくんの行動に、頭が働かない。だけど直ぐにユウキくんは真剣な瞳に変わり、先輩って子供っぽいですよね。そういう先輩、すごく好きです。と言った。甘い甘いその言葉が一生私の頭の中に記録されればと願うけど、人の儚い記憶力じゃ到底無理。でもまた、何度でもきみがくれると信じてる。


キスミー、キスミー



title by ashelly


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -