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泣きたかった、泣きたくて仕方なかった。だけど溢れでるのは無数のため息ばかりで、自分で情けないと思えることばかりだった。倉間くんに、当初の目的だったレモンの蜂蜜付けを渡すことができた。それでいいじゃないか。だけど心の中で渦巻く重たい感情が私の気持ちを鬱にさせる。何が原因か、全部倉間くんじゃないか!

「というわけなんで、倉間くんに告白することは出来ませんでした」
「出来ませんでしたって…それ、マジ?」
「冗談で言いませんよこんなこと」
「つーか、その敬語まず止めようぜ」

かわいそうな子を宥めるように、水鳥さんは私の頭を撫でた。いくら背が水鳥さんより小さいからって、子供扱いはごめんだよ。だけど反抗する気力は残ってない。きっと私は今日の出来事にすごくショックを受けたんだ。

「まぁそう落ち込むなって!まだチャンスはあるよ!」
「水鳥さん…私、大切なことに気づいちゃいました」
「は、何?」
「私、倉間くんに誤解されたのがショックなんじゃなくて、倉間くんに恋愛対象として見られてないのがショックなんです!」

そうだ、きっと倉間くんは私のこと友だちとしか見てとれてないんだ。だから呼び出しして、差し入れを渡しても、自分に贈られたものだと思ってないんだ。ようやく分かったよ私。倉間くんに恋するっていうことは、友だちだって恋愛対象として見れるっていうことに気づかせなきゃいけないんだ!私の長い長い説明に、水鳥さんはものすごく不機嫌な顔をしていた。

「なんだそれ。すっげぇ面倒臭いじゃん」

そうなんですよ、実はそこが問題なんですよね。


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