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ひとつ想い出話を聞いて欲しいと思います。私が最期に過ごしたシロガネ山は年中雪が降っていて、いつも遠くの景色がよく見えないの。だから晴れた日がすごく嬉しくて、レッドに注意されても寝ない、寝られなかった。ある日の夜、雪は降らずに空はきれいに晴れたのです。するときらきらと光る星が瞬いて、私を魅了してくれました。あの時毛布に身をくるみながらレッドと見た夜空が一番の想い出になったと思う。一生私の宝物。あのとき、星になろうって決めました。星になったら夜だけだけどレッドもお母さんもお父さんも友だちもみんな、空から見守っていられる。ね、それが一番いいなぁって思った、みんな私の夢を聞くと泣き出すんだよ。だけど、私はちっとも悲しくないの。名前ちゃんは明るいね、とか強いよねなんて言うけどね、本当はそんなこと全然ないんだよ。本当はすごく悲しいし、泣きたいし、死んでしまう運命なんて糞食らえって思っていた。だけどやっぱり間違ってる。大好きなお母さんとお父さんの子として生まれることができた。やさしい友だちと出逢えた。好きな人も出来た。みんな、私がいなくなったら悲しいよって言ってくれた。それだけでもう十分なの。みんなにそう思ってもらえる人間に生まれてよかった。本当に、よかった。

だから、悲しくないんだ。むしろ嬉しいよ。あ、何か息苦しくなってきたなぁ、もうそろそろかもしれない。最期にもう一度シロガネ山に登ってレッドに会って、ピカチュウを撫でてきたかったけど、もう無理みたい。伝わったらいいなぁこの想い。そっと静かに私は動かなくなる。意識が、遠のいていく――。それでも世界は回るから、残酷って思えるけどやっぱり違う。


世界の呼吸はやさしい
みんな、だーいすき



唐突で意味不明なお話でしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました!悲しくない死ねたっていうのを書いてみたかったんです…管理人の力じゃあんまり表現されてませんね。もっと頑張ります。


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