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「私に恋してるとき、トウヤ君はやっぱり辛かったの?」
「お前そこ食らいつくんだね」
「だって知りたいし。それに今日、色々考えたんだよ」
「どうせろくでもないことだろ」
「むーどうして君はいつもそう諦めているんだい」


もっと期待して欲しい。私だって、いつまでもバカな訳じゃないんだから。ちょっとは成長しているんだよ。それにこれは本当に色々考えた。


「俺には分かんない」
「昨日は答えてくれたじゃん。ねぇ、やっぱり恋って辛いよね。でも、優しいんだよ」
「………」
「恋って我が侭で自分勝手だとか言うけど、そんなの恋じゃないよ。相手のことを考える優しい気持ちが、恋っていうんだよ」
「お前それ本当に思ってるの?」


一瞬だけど、鋭い目つきで睨まれてしまった。あれ、これお母さんが持ってる本の作者さんが言ってたことなんだけど。作家さんだから、言うこと結構筋道通ってると思ってたのに…。
ただトウヤ君はひとつ、ため息を吐いた。


「俺悪いけど、優しくなんかないから」
「うん」
「自分勝手だし、我が侭なのが恋に決まってる。優しいだけなんて、俺は嫌だね。傷つけても泣かせても、奪いたいって思う」
「…うん、」
「名前が俺のことどう思ってるかなんて知らないけどさ、あんまり上辺だけ見てんじゃねぇよ」
「ねぇトウヤ君」


バカな質問してごめんなさい。くだらない話しを振ってごめんね。本当にごめん。だけど私は一言だけ、トウヤ君の口から言われたかったの。「名前に恋してるとき、辛かった」って。私に恋してくれていたんだって、実感したいの。

互いに通じ合った今だからこそ、知りたい気持ちがあふれ出す。私が想っていた感情を、トウヤ君も持っていて欲しい。そんな身勝手でバカみたいな感情が溢れて止まらない。分かってるよ。この感情が勝手で我が侭だって。恋がそういうものだってぐらい。


「ねぇトウヤ君は私のこと好きですか?」
「何、いきなり」
「トウヤ君の口から聞きたくて」
「…好きだよ」
「恋してるとき、辛かった?私のこと、好きでいたいって思ってくれたの?」
「さっきも言っただろ」


トウヤ君はそう言うと、私の耳元に口を寄せ、その甘い言葉を呟いた。
さっき言っただろ。傷つけても泣かせても、奪いたいって思ったんだ。これからもずっと先、名前のこと誰にも渡す気ないから。なんて。
やっぱり私は何処に転んでも、あなたの言葉に溶けてしまいそう。ううん、もういっそ溶けてしまいたいなんて思います。


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