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キーンコーンカーンコーン、とその日の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。周りの子たちは「やっと終わったー!」とか「早く帰りたいなぁ」なんてお喋りを始めてしまう。いつもだったら私だって部活がなければ早く帰りたいなぁと思うし、終わったー!とも心を楽に出来る。だけど今日はこれから、とても大変なことが待ち受けているんだ。バックの中に入る昨日作ったレモンの蜂蜜付け。今更になって緊張してきてしまった。今日まだ一度も顔を合わせていない倉間くんのことを考える。あぁああダメだ、頬が熱くて仕方ない。後ろの席に座る茜ちゃんに助けを求めていた。

「ああああ茜ちゃんどうしようチャイム鳴っちゃった」
「楽しみだね今から」
「緊張で心臓が張り裂けそうなんですけど」
「大丈夫。ちゃーんと写真に撮ってあげるからね。安心して名前ちゃん」
「もっと緊張するわあああ!」

ダメだ、いくら仲良しお友だちな茜ちゃんでも、悪戯心丸見え。この子に安心を求めて話しかけるんじゃなかった。とりあえず「写真とか絶対止めてね」と念を押しておく。結局は自分で渡すことになっちゃったし。渡すタイミングは水鳥さんが教えてくれるって言ったけどなぁ…いつ、教えてもらうんだろう。

「何、この後直ぐ渡すことになってるの?」
「予定までは知らない」
「…茜ちゃん水鳥さんから聞いてないの?」
「聞いてないよ」

っていうか名前ちゃん、名前ちゃん今日部活あるでしょう?可愛らしい顔で私にそう言う茜ちゃん。あ、と思い出した。確かに今日急遽やるとか何とか部長から…ってどうしてそんなこと茜ちゃん知ってるんだろう。よくこの子私の部活の予定教えてくれるけど。最悪だ。部活行かなきゃいけないなんて。


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