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気付いたら終わっていた合コン。時刻は夜遅くを刻み、帰り道は真っ暗。同じ道を辿り帰るはずの吹雪くんを置いて、私はさっさと帰路を進んだ。途中、吹雪くんずっとボーっとしてたけど、大丈夫かな。なんて心配は要らないんだろう。もう、彼のことを考えるのに疲れた。どうか神様、今日帰ったら何事もなかったように彼が笑ってくれますように。あまりにも無理な願いを、今更神様に願った。もちろん、私は神様なんて信じてないよ。神様のせいで、吹雪くんに出会ったんだ。こんな苦しい恋をしなくちゃいけなくなったんだ。嫌い大っ嫌い。吹雪くんも神様も。何が分からず拒絶するだけの私も。本当、疲れた。楽になりたい。このまま違う場所に逃げてしまいたいなぁ。そんな勇気なんてないから、実行に移さない。私は一度も、吹雪くんの元を離れたことはない。ずっと恐怖で縛り付けられていたんだ。何かされるって、怖がって、あの場所から離れたくて離れられなくて悲しい哀しいかなしい。伝おうと溢れ出す涙を堪え、家まではと耐えた。家に帰ったら思いっきり泣いてしまえばいい。どうせ吹雪くんは帰ってこないでしょう。分かってる、そういうところだけは嫌という程分かってるの。変なところに敏感な自分も嫌だな。気付かなくていいところに気付いて、独り傷ついて、でもいっそひとりぼっちになれればうんと楽になれると思うの。解放されない苦しみの中で、最後に願うのはただひとつ。言ってしまってもいいじゃないか。私、頑張ったじゃないか。もう、普通に暮らしたっていいじゃないか。あなたと離れたい。どれだけ胸が張り裂けそうでも、私たちは離れた方がいい関係。絶対に。だから今度会ったら吹雪くん、君に伝えよう。別れましょう、って。聞き分けのいい吹雪くんだから、きっと内心清々した気分で笑ってくれるだろう。「そうだね」って。あぁそれが一番最良で一番最低だ。


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