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冷たいグラスを机の上に置き、ひとり夜に酔いふけて、一体自分が何をしたいのか分からない。眠れない夜を幾重にも重ね、見つけたものなんて、ありはしない。ただただ刻々と過ぎるだけの時間と周囲。ぐずぐずしてたら、いつかおいてかれちゃうよ?と、私の中のもうひとりの私が囁きかける。自分で自分を追い詰めて、ちっとも楽しくなんかない。むしろ苦しいよ。ひとりぼっちの夜に早く溶けてしまいたい。


「…なんや名前、おきとったんか?」
「あ、マサキさん…ごめんなさい、起こしちゃった」
「横見たらおらへんからなぁ」


ははは、と少し笑ってマサキさんは私の隣に座った。触れそうで触れない優柔不断なお互いの肩はきっと、私たちの関係を物語っている。飲んでいたものは私の握りしめていた手の平の温度で温かくなっている。あ、そういえばマサキさん何か飲む?彼は少し笑うと「じゃあ名前の飲んどるやつにするわ」と短く答えた。


「いいけどマサキさん…これ、スポーツ飲料ですよ」
「は?!夜中に何飲んどんねん」
「変な行動がしてみたかったんです」


呆れとかため息なんて大歓迎。好きなように反応して。どれだけ笑ってもバカにされても今なら私も少し笑うぐらいですむはず。だけど嫌いにはならないでほしいんです。私の小さな呟きにマサキさんは「バーカ、んなことあらへんで大丈夫やわ」と髪を撫でてくれた。


泣いて笑って笑って、笑って?
結局それの繰り返し。


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