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「という訳なんで、茜ちゃん。これ倉間くんに渡しておいてください」
「バカ言ってんじゃねぇ」
「いったぁ!」

瞬間、水鳥さんから強烈なチョップをいただいてしまった。果たして今ので一体いくつもの脳細胞が死んだのやら。私がバカになったらどうしてくれるのかしらね。「名前ちゃんは元からアホだよ」なんて穏やかに言ってくれた茜ちゃん。一言余計だよ。全く、この世界に私の味方は一人もいないというの?そう思ったとき、脳裏によぎったひとつの顔。私は一人じゃなかった。

「味方いたわ!浜野に頼めばいいんじゃん!」
「何処がいいんだよ。しかも何で浜野が味方?」
「補習仲間です」
「もう一発食らうか?」

水鳥さんの握りしめた力強い拳があまりにも私の頭を狙っていたので、数秒だけ黙ることにした。だけど耐えきれなくなったので「じゃあどうやって渡すの?」と問いかける。水鳥さんは当たり前だと言わんばかりに腕を組んで仁王立ちになって言った。「直接渡す以外に方法あるのかよ」
あのね水鳥さん。直接渡したくないからバカみたいにボケ倒して、方法を聞いていたんですけど。

「自分で渡すのが一番だって」
「無理無理絶対無理」
「分かった。呼び出すことは私がやってやるから。絶対自分で渡せよ?」

なんとまぁ中途半端な手伝いかただな。そんな本音、口が裂けても言わないけど。だって言ったら、最初から最後まで自分でやらなきゃいけないんだし。っていうかそれ以前に受け取ってもらえるかが問題だよね。


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