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「マサキ先生マサキ先生!おじゃまします!今日はなんの日か知っていますか?」


「……大学入試センター試験まで、あと64日の日やな」
「ちがいます!そんなゆめも希望もない日ではありません!ポッキーの日です!」


「…ポッキーの日?何でまた、今日」
「やれやれ…先生もまだまだ勉強が足りませんね。教えてあげます。ノートのすみっこに11月11日と書いてみてください。ああ違いますよ!漢字で書かないでください」

「…あほやなぁ、ただの菓子製造メーカーの戦略やないか。いちいちはしゃいどったら企業の思う壺やで、こんなん」
「いいじゃないですか。美味しいは正義、こまかいことは気にせずポッキーを食べましょう」


「楽しそうなとこ悪いけどな…残念な話、全く興味沸かへんねん。ポッキーはお前一人で食べたらええわ」
「む、そんなさびしいこと言わないでくださいよ。少ないお小遣いで買ったんですよ。ポッキー」

「そう言うても、わい甘いもんとかあんま食いた無いし」
「ポッキーの甘さはそんなにくどくないですよ。せっかくふた袋あるんですから、遠慮せずに!」

「だから要らんて」
「先生も強情ですね、そんなに遠慮しなくていいじゃないですか。謙虚も一周まわるとたいへんな失礼ですよ。もう、ここに一袋置いておきますからね!」


「……ギャロップの耳に念仏や」


▲▽▲▽


「あっ。開けてすらいないじゃないですか!ひどい!わたしは先生にしあわせを分けてあげたかっただけなのに!」

「うっさい耳元で叫ぶな、何回も要らん言うたやないか。第一、もろうたもん食おうが食うまいがわいの勝手やろ」
「そんなの知りません!ひとの厚意をむだにするなんて!ひとでなし!悪党!ロケット団!ジュンサーさんに捕まってください!」


「あのなぁ…」


「なんですか!わたしは本気です!マジとよみますよ!先生なんて、足のこゆびをタンスの角にぶつけてしまえばいいんです!」

 .
 .
 .

「……ちょっと先生、卑怯です。だまらないでくださいよ」


「いや…なんちゅうか…なんでタンスなん」
「もちろん、痛いからです」
「ほうか」
「そうです」


「それは嫌やな」
「嫌ですか!」
「なんで嬉しそうなん」
「先生、まいりましたか?」
「……あーもう、参った参った。食べたらええんやろ、ポッキー」


「あ!」


「一本だけもろうとく。ほら、あとはお前が好きにしたらええ」
「えっ、先生、一本だけでいいんですか?あとで後悔しても知りませんよ」
「あほ。お前じゃあるまいし。お前がポッキー食ってるとこ見とったら腹一杯んなってもうたわ」
「先生……!…む、でもおかしいですね。ソファは机と反対がわにありますよ。先生はお勉強をしていたのではないですか?」


「………そんなん、当たり前やろ」


「むむ?先生、お顔があかいです。風邪でもひきましたか」

「うっさい、誰も赤ないわ」
「うるさいとはなんですか。わたしは先生を心配しているのに」

「……」

「まただんまりですか。いよいよ本格的にひきょう者です」


「…ポッキー返すか」
「ああそんなもちろん冗談ですよ先生なにひとつ異常ありません。ささ、お勉強に集中してください」






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炭さん宅のポッキーの日企画から強奪。
許可を頂いたのでイラストも。私幸せすぎます。


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