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pm13:00



平日のその時間は当たり前に学校にいて、昼飯を食べている。今も4人の机を合わせて班を作り、給食らしい給食を食べている。あ、ちなみに班のメンバーは倉間くんと浜野くんと速水くん。
今日はパンと焼き魚とスープとゼリーだ。ゼリー頂戴と倉間くんと速水くんに頭を下げている光景を見て、わたしはくすりと笑みを零す。嫌だよとゼリーを隠す倉間くんに、えええ…と顔を引きつらせる速水くん。はい、とわたしが浜野くんにゼリーを渡せば、浜野くんはぱっと笑顔になった。

「名字ありがとな!」
「いえいえ。美味しく頂いてね」
「勿論!」

ご機嫌そうにゼリーを自分のおぼんの上に置く浜野くん。あげてよかったなと思いながらパンを一口頬張れば、向かい合って座っている倉間くんが牛乳を二つ確保しているのが見えた。そんな様子を見た浜野くんが何やら「伸びるといいなー」と倉間くんの頭に触れようとした。その手を倉間くんが素早く引っぱたく。相変わらず賑やか。

「別に身長気にして牛乳飲んでるわけじゃねぇよ。俺より同じくら、…小さい先輩いるし」
「でも倉間くんさ、牛乳二パックも飲んだらお腹壊さない?」
「壊さない」
「そっか〜。わたしお腹弱いから二パックも飲んだら五時間目倒れちゃうな」
「…ふうん」

どうでもよさそうに相槌を打ってストローを牛乳パックに差す倉間くん。ま、まあそうだよね、聞かれてもいないこと話されても困っちゃうもんね!
落ち込みながら自分を自分で励ましてパンをちまちま食べる。浜野くんはもう食べ終えたようだ。男の子って給食食べるの早いよなあ。なんでだろ。あ、今日のスープ美味しい。

「倉間ー、いっぱい食べろよ!」
「余計なお世話だっつーの…」
「ま、まあまあ…」
「そうそう、身長が小さくたって倉間くん十分かっこいいんだから」
「……は?」
「……え?」
「名字?」
「…え、え?」

ケッと不貞腐れる倉間くんを宥める速水くんに乗っかってみれば、倉間くんと速水くん、それにすぐそばでおかわりをしていた浜野くんでさえ驚いたようにわたしを凝視するもんだから変なこと言ったっけと不安になってしまう。しかもなんだか男子三人の視線を一気に浴びているからか、冷や汗が…ああもう床さんと視線を合わせるしかないじゃないか。

「…サンキュー」

え。 驚いて顔をパッと上げてみれば、倉間くんは食事中だと言うのに頬杖をつきそっぽを向いて牛乳を飲んでいた。今の声は確かに倉間くんのものだったと思うけど、あれ、聞き間違い?空耳…?速水くんが言ったのかと視線を向けてみるも速水くんは黙々と魚を食べているし、浜野くんはにこにこしながら牛乳パックを畳んでいる。ああ、余計誰が言ったか分からなくなってしまった。でも声は確かに、確かに倉間くんだった。うん、倉間くんだった。

「どう致しまして!」

滅多に言われないお礼の言葉に思わず頬が緩んでしまって、きっとにやけながら言ってしまったであろう“どう致しまして”。一瞬倉間くんがこちらを見てくれたような気がした。
「うんうん、倉間は小さくてもかっこいいもんな!よっ11番!」と元気に倉間くんの背中を叩いた浜野くんに、倉間くんの蹴りがお見舞いされたのは言うまでもない…のかな。



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まゆこさん宅の10000打フリリクで頂きました!
倉間くん…カッコイイです^^ありがとうございました!


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