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授業中に寝るなんて、今までの私から見れば有り得ない行為だった。どうして中1のときはあんなにも真面目に、授業を聞き、それなりにいい成績を取っていたというのに。今年になって成績は下がるし、おまけに授業中やたらと眠い。だけど寝てたら怒られるし、まぁ当たり前かもしれないけど。じゃあこのやり切れないものをどこにブチ撒ければいいんだろう。はぁ、誰か気分転換にどこか一緒に行こうって、誘ってくれないかな。


「ねぇ倉間、なんでそんな風に授業受けられるわけ」
「はぁ?」


隣の席に座る倉間に何気なく聞いてみた質問。彼は呆れの混じった声で返答してくれた。聞きたいのはその先だけど。倉間はサッカー部に入ってて、それなりに練習も厳しいはずなのに、どうして毎日授業を受けられているんだろう。隣の席の人間として、倉間が寝ているところなんてまだ一度も見たことない。こいつ毎日何時間寝てるんだよ。しかも宿題とか忘れたところを見たこと、成績が下がったなんてことを聞くこともない。いつ、勉強してるんですか。


「俺お前と違うから」
「…ま、何でもいいや。寝るから起こしてくれ」
「名字寝るのかよ」
「だって眠いし」


もし先生に注意されそうになったり、当たりそうになったら起こしてね。ついでに問題の答えも教えてください。そう言い残し、目を閉じ、静かに頭を垂らす。よく友だちから「授業中名前は大胆に寝てるよね」なんて言われるけど、気にしない。私はこの方法が好きだから。
しかし次の瞬間、頭に何かがぶつかった。痛い、という問題じゃない。なんだろうこの感覚は。まるで本の門で叩かれたような激痛。声にならない叫びを上げ、犯人であろう倉間をにらんだ。予想通り、手には教科書を持っている。なんて危ないやつなんだ。


「ちょっと、何するの!」
「起こしてやったんだよ。よく効くだろこれ」
「痛いってば!脳細胞死んじゃうよ」
「そんなこと知らねぇよ」


楽しそうに笑みを溢し、倉間は板書をノートに写しだしていく。その横顔を見ていると、いつの間にか自分の中の眠気はどこかへ飛んで行ってしまうのが分かった。私今、すごく冴えてるかもしれない。倉間の横顔が、すごく輝いてみる。頭叩かれて、本当におかしくなったのかもしれない。でも、気にしないでおこう。


眠気さましの魔法
でも次はもう少し優しく起こしてほしい、なんてね。


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