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屋上から見える青空は、いつ眺めても吸い込まれそうなくらいに深い蒼だった。何度同じ場所に来ても、同じことを思う。いつもはもっと賑わいのある時間のはずなのに、今日こんなにも沈黙に包まれているのは、運の問題。いつもはないはずの委員会のおかげで、ハルカちゃんもミツルくんもいない。寂しいよ、たとえ君と二人でも。いや、君と二人だから寂しいのかもね。


「ユウキくん、何か喋って」
「…」
「ねぇ携帯いじるの止めようよ。っていうか、お昼は?」
「もう食った」


早い、なんて早いんだ。こっちはまだおかず三口目だというのに。もう少しはこっちのペースに合わせてくれてもいいと思うけど。でもきっとそれを言ってしまえば、ユウキくんも私に同じこと言うんだ。意味ない、仕方ない。だけど君と二人だから喋りたいと思うのは間違いですか。


「ねぇ私が死んだらどうする?」
「名前の分まで長生きしてやるよ」
「じゃあユウキくんが死んだら、私もユウキくんの分まで長生きするね」
「っていうかさ、」


死ぬとか物騒なこと言うなよ。ぴしゃりと言われ、少しだけ後悔した。決してふざけて言った訳じゃない。半分は本気だと言っておこう。弁当に残っているブロッコリーが小さく見えた。ついでに吹いている風も冷たい。そういえばもうすぐ冬だよね。ごめん、と一言呟いて、卵焼きを口の中に入れた。ユウキくんがその卵焼きちょうだいなんて言ったのは、きっとメロンパンだけじゃ足らなかったからだ。私のお母さんの料理は美味しい。私の料理は不味い。何だかちょっと複雑。


「じゃあさ、」


一言置いて、ユウキくんが切り出してきた。何、どうしたの。珍しく携帯をいじる手が止まってる。そっとこっちに視線を持ってきて、あ、きれいな瞳。ユウキくんはいつもきれいだけど。


「一緒の日に、死ねるといいよな」


秋空の下、僕らは一体何を考えているんだろう。


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