txt | ナノ

講義が終わったらすぐ行くからさ。名前ちゃん、ちゃんと準備してきてよ。あ、直前でドタキャンとかなしだからね。絶対、来てよ。もう相手の方にも名前ちゃんを含めての人数で行くって言っちゃったんだから。分かった?そうそう、誰が来るとかまた知らされてないんだ。だからって緊張しなくてもいいよ。私が付いてるしね!今日は何もかも忘れて、一緒に楽しもう!

よくもまぁこんな長いメールを講義中に送ってこれるものだと、心底感心した。果たしてそれが呆れから出たものなのか、純粋な驚きから出たものなのかは知らないけど。要するに絶対来い、とこの子は言いたいんだろうなぁ。やっぱり断っとけばよかったかな。直前になって面倒くさくなってきたし。

だけど、メールの最後に書かれた『今日は何もかも忘れて、一緒に楽しもう!』という言葉がどうにも頭から離れなくて、私の中の欲がどんどん膨らんでいく。何もかも、忘れて、私だって楽しみたい。





講義が終わり、友だちは直ぐ私に駆け寄ると手を引っ張り出す。さぁ行こう!と元気のいい声を上げ、先へとどんどん進んでいく。その力に身を任せ、私は手に携帯を取った。吹雪くんにメールするため。

いくら彼のいない場所で楽しみたいといっても、無断はよくないと思う。後で何言われるのかも分からないし。今日ちょっと遅くなるから、ご飯とか先に食べてて。短いメールを送信して、頭の中から一時的に吹雪くんを忘れようと頭を切り替えた。

はずだった。
今日の合コンの参加者が待つ大学の門前には、今忘れたはずの彼の姿があった。友だちは何だか嬉しそうな顔してる。「あ、吹雪くんいるじゃん!知らなかったなー、でも名前ちゃんこれで余計な誤解とかなくなるよね?」なんて。確かにそうかもしれないね。私の姿を見つけるなり、彼は目を見開くけど、直ぐに顔を逸らす。

今、喧嘩中なんだよ。なのにこんなのって……やっぱり、どんなに経っても私は神さまを好きにはなれないみたい。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -