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生意気な後輩が昨日、私みたいな先輩にモノを頼みに来た。名前先輩英語得意でしたよね、教えてくれませんかって。最初は何か彼が悪いモノを食べたのかなんて心配したけど、受験生だからという理由をつければ納得がいく。要するに、私に教えて欲しいと頼む程その志望校に受かりたいと思っているんだろう。自分で言って、よく泣けないな私。


「それでー?君は何処を受験するんだい」
「先輩んとこ」
「マジで。どうして何で?」
「家から近いし、簡単に受かりそうだから」


全く、世の中の受験生たちが聞いたら怒りの出てきそうな一言をさらりと言ってみせるところが後輩としてちょっと感心する。確かに私の今通っている高校はそこそこ頭もいいし、必死に勉強して入った学校だ。でもまさかそこがユウキ君の第一志望だなんて。


「先輩が恋しくなっちゃった?」
「何バカなこと言ってるんですか。有り得ない」
「うわー傷つく」
「そんなこと言って、全然平気なくせに」


だから、そうやって何気に傷つく言葉を言わないで欲しい。私だって、平気じゃないときぐらいあるんだから。今がまさにそういうときだよ。確かにちょっと冗談は入ってるけど、そんな否定しないで欲しい。
ちょっとでも、って思ったけど、やっぱりその先は聞けない。今こうやって勉強教えてる時は、後輩である君がすごく近いよ。だけどやっぱり遠い距離感を思うと、私たちの関係って底が知れてるよね。



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