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「名前ちゃん、何か調子でも悪いの?」
「え、何が」
「何か疲れてる感じ?」
「…そうかなぁ」


講義の最中だというのに、隣に座る友だちは関係なく話しかけてくる。まだ話しかけてくるならいいんだよ。だけど、音量を下げて。どうして毎回、通常の音量で喋るんだろう。先生がこっちに気付いてしまうかもしれないのに。
調子悪いとか疲れたとか。今なら頷ける状態かもしれない。確かに昨日の行為で調子悪いし、余計な負担がかかって疲れている。おまけに朝起きると吹雪くんは機嫌が悪いのか呼んでも返事をしてくれない。今日まだ一言も喋ってないんだ。


「でもそれがどうしたの?」
「名前ちゃん今日暇?」
「…まぁ暇だよ」


今日バイトはない。だからといって急ぐような課題はこの間終わらせてしまった。自主的に勉強すればいいことだが、きっと今日は夜までそんな気分になれないと思う。いっそ吹雪くんが帰ってこないうちに寝てしまいたい。そうしたら目も合わせずに声も交わさずに今日終われる。


「合コンとか行かない?」
「はい?」
「だから合コンだよ。合コン。今まで1度はしたことあるでしょー」
「な、ないよ」


さも当然のことのように言われるけど、合コンなんて私は経験したことない。高校時代は灰色の生活を送ってきた。あんまり恋愛とかに興味がなかった。大学に入ってすぐ吹雪くんと出会って今があるのだから、やはりどう考えても合コンはない。そもそもそんなことする暇を与えられなかった。


「何それ。じゃあ尚更参加しない?」
「え、でも私彼氏いるし…」
「知ってるよーでも大丈夫!ただの人数合わせだから。名前ちゃんのこともし狙う輩がいたら、私が追い払ってやるからさ!」
「は、はは…」


心強い台詞を言ってくれることは頼もしくありがたいけど、そもそも私という人間に合コンが合ってないと思う。やっぱり断ろうと思ったけど、友だちの「気晴らしだと思って。吹雪くんだって誤解とかしないでしょ?」なんて言葉を聞いたら、まぁいいかなんて。自分の規制の緩さが後で苦しみを生むなんて考えてなかったの。
そうだよね。気晴らしだもん。吹雪くんだって、きっと許してくれる。


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