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他の男のところで生きなよ。もう俺は無理だから。小さく、消え入りそうな声でユウキ君は呟く。声は涙で濡れていない。
どうしてどうして。そんな弱音を吐くなんて、ユウキ君らしくないよ。どうして別れようなんて言うの?私に何か問題でもあったの?なら、直すから。だからお願い。そんな悲しいこと言わないで。
だけど、どれだけ願ってもユウキ君は何も答えてくれなかった。無言のまま、立ち上がって部屋を出て行ってしまいそう。冷たくしないで。お願いだから、私の話をちゃんと聞いてほしい。


「ユウキ君。私、何かした?」
「…何も」
「じゃあ、どうして無理なんて言うの?」
「…疲れたから」


それは軽く残酷な言葉でした。
別に名前のこと嫌いになったわけじゃなくて、好きだけど、付き合うとかが面倒くさい。別にお互い分かってるんだったらそれでいいじゃん。それだけでいいだろ。もう、疲れたんだよね。
でももし“付き合う”という部分に執着するなら、俺はもう無理だから。だから他の男のところで生きなよ。絶対そっちの方が名前のためになる。
だけどそれでも私はやっぱりユウキ君が好き。嫌だ嫌だ、君がいいの。だからお願いだから、悲しいことを言わないで。


「もしユウキ君がそう望むんだったら、私はいいよ。だけど、離れたくない」
「…うん。俺も」
「ユウキ君ってよくわからない人だね」
「知ってる」


知ってる、と短くだけど受け入れられた気がした。ユウキ君が面倒くさいなら、それでいい。そばにいたい。離れたくない。我が侭でもいい。だってそんなこと言ったら、ユウキ君だって十分身勝手だ。だから今でも何も変わらない。そう信じてる。



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