txt | ナノ

鬱陶しいほどに付きまとわれ、それを振り払えなかったから今があると思う。最初は眩しい程の微笑みを見せてくれたし、解けてしまいそうな優しさを見せてくれた。あの時みたいに純粋な想いのまま今までを繋げたら、私はきっとあなたにもう一度好きと伝えられたはず。だけどやっぱり今日もあなたは帰ってこない。





「じゃあ今日はちょっと遅くなるから」
「気をつけてね。…バイト、頑張って」
「ありがとう。名前ちゃん」
「うん」


短い会話を終え、吹雪くんはドアから外へと夕暮れの町へと行ってしまう。今からバイトだとか何とか。それが本当か嘘かは知らない。でもきっとバイトなんかじゃ、ない。分かってるよ。だからひそひそしないでいいの。はっきりと私を捨てればいいのに。肝心なところで吹雪くんは話を持ち出してくれない。
でも今日はきっと、帰ってこない。悲しみと嬉しさと、それと哀しみが込み上げてきた。だけど押し込め、部屋の机に向かった。今日出された課題がある。高校の頃に比べたら幾分か自由になっても、学生な私にだって勉強がある。いつもよりは静かに落ち着いて出来るかもしれない。だって今日は吹雪くんがいない。
そう、いない。きっと私じゃない女の人と楽しいコトしてるんだ。同じ大学生の身分なのに、自由すぎなんじゃない?課題はしなくていいの?学部が違うから何も分からない。何も知らないや。知らなくていい。今日は何も考えず集中したい。
いつもよりずっと寝れるだろうか。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -