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仕事一息ついたで、コーヒーでも飲まへん?とマサキから誘いをもらったとき、心臓が一段と跳ねたのは言うまでもない。私の分までマグカップにコーヒーを注いで私に渡してくれる。その差し出されたコップがお揃いで買った物だというのはわざとなのか、それとも無神経に出たことなのか。
何も聞かない。だけどすごく気になった。


「名前、そこの砂糖取って」
「え、マサキ砂糖入れるの?ブラック好きじゃなかったっけ?」
「疲れたときには甘いものって言うやろ」
「…まぁ確かに」


砂糖の入れ物を渡すと、普段からは予想できないような量を詰め込んでいく。知らなかった。マサキは甘党だったのか。最近ブラックを飲めるようになった私は今日も無糖で少し大人の気分を味わう。だけど向かいに座るマサキは思いっきり、子供が飲むくらい甘くなっているんだろう。


「意外。ブラック以外飲まないと思ってた」
「んな訳あるか。わいやて甘いのぐらい飲むわ」
「無糖と加糖、どっちが好き?」
「難しいわぁ」


即答で無糖って言うかと思ったが以外にも悩み始めるマサキ。いつも飲んでるのに、無糖はそんなに迷うほどの程度だったのか。
じゃあ最後に質問。マサキはコーヒーって好き?
真面目な質問は鼻で笑われた。笑われるところ何てなかったはずなのに。理不尽を感じても何も言えなかった。だってマサキはすっごく優しく笑ったから。


「別にコーヒーはそこまで好きやないで」

「名前と話す時間欲しかっただけや」


それだけで十分な気がする。



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