txt | ナノ

どうしてどうしてどうして。訳分からない。私何も悪いことした覚えないのに。確かに倉間くんのこと心優しくないなんて囁いたかもしれないけど、それによってこの状況が生まれたなんて考えられない。だってあまりにも重すぎる。どうしてこんなにも沈黙の中、家に帰らなきゃ行けないんだ。

「…あ、あのさ」
「んー?」
「…いや、何でもないです」
「………」

だからそこ、何で無言で返すの?こっちが反応に困るでしょ!
あぁどうしてこんなに気まずいの。この間一緒に登校したとき、確かにお互い何の会話もなかったけど、ここまで気分が悪い訳じゃなかった。むしろ一緒の歩幅で歩くことに少しだけ嬉しさを感じていたというのに!

「あのさ、倉間くん」
「何だよ」
「…黙るの辞めようか」
「………」
「嫌がらせですか?!」

黙るなと言うのに。多分倉間くん私の気持ち分かってないだろうな。友だちトモダチ。友達のはずの倉間くんと、どうしてこんなにも話し辛いの。
倉間くんは何の言葉も出ない私を哀れに思ったのか、どう思ったのか。よく分からないけど1つだけ、ため息を吐いた。まったく本人の前で失礼な奴だな。

「名字、何か荷物重そうだな」
「え、あーうん。浜野に貸したもらった漫画入ってるから」

その数なんと10冊。重いけど持ってみる?私の問いかけにあっさりと反応を無で返し、先を歩いていってしまう。自分から聞いておいて、倉間くんってこんなにも気まぐれだったかしら。

「倉間くん、漫画貸そうか?」
「は、意味わかんねぇよ」
「いや、私の荷物が軽くなるんだったらいいかなぁと思って」
「ふざけんなよ!つーか、それ浜野に悪いし」
「いいって全然!、多分」
「いい加減な奴だなお前…」

断る倉間くんの意見を私は無視した。無理矢理重い漫画10冊を手渡し、開放感に包まれる。それに嫌だとか言うけど、多分読んで面白い内容だ。浜野も私の次に倉間くんに貸そうとか何とか呟いてたはずだ。
だけどあれ。何だ私、気まずいと思ったのに、全然喋れるじゃん。そういえば倉間くんが私に荷物のこと聞いてくれたときからか。何だ、別に私倉間くんとこれからもトモダチとして変わらずやっていけそう!
とりあえず明日茜ちゃんに今日会ったあの怖いサッカー部の女の子について聞いてみよう。ついでに、浜野に謝らなきゃ。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -