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ミシロタウンまで相棒のフライゴンと一っ飛び。彼女の特権を利用してユウキくんの家にお邪魔する。リビングでテレビを眺めていたお母さまの言うことによると、ユウキくんは「キッチンにいるわよ」だそうだ。一体キッチンで何をしているのだろうか。抜き足差し足忍び足、とゆっくり扉に近付いていくと何か料理をしているらしくかたかたと音がした。驚かせようかな、というちょっとした悪戯心のもと、ユウキくんの背後に立っていきなり「わあ!」と声を出してみた。私の声に合わせて「わー!」とユウキくんは手元のボウルを抱えて想像以上に反応し振り返った。ボウルから生地が少し飛ぶ。…やりすぎちゃったかな。


「えへへ、お邪魔してます」
「全く、心臓に悪い…」
「ユウキくん何作ってるの?」
「わ、バカ、見るな」


慌てて隠そうとするけど残念ながら私の方が早い。台に並べられた卵、粉、イチゴ、ホイップクリーム、


「ケーキ?」
「…お前の誕生日だろ」
「わー、忘れてるかと思ってた!」
「忘れるか!」
「だってポケナビから連絡したのにいつまでたっても返信が来ないからさあ」
「ああ、悪い」


けど覚えてくれていたようでなによりです。嬉しくて変な顔になる。ニコニコと料理風景を眺めているとユウキくんが「見られてると集中出来ねーから!」と私を追い出そうとした。


「えー、私も手伝うよー!」
「それじゃ意味無いだろ、名前は貰う側なんだから」
「えええ…」
「リビングで待ってろって」
「じゃあユウキくんの部屋で待ってる」
「止めろ!」
「怪しいなあ、彼女に見られると困るものでもあるの?」
「無いけど!駄目だっつーの!」
「じゃあ手伝う!」
「…はぁ」


仕方ないなっていう風のため息をつきユウキくんが立ち位置を移動した。うん、ケーキを作ってもらえるのも凄く嬉しいけどね、何より君と過ごす時間が一番のプレゼントなんですよ。


ラブ・オン・ザ・ショートケイク
(とラブ乗せ特製ケーキ)



ミエリさんから誕生祝いにもらいました。


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