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ねぇこの世界には“モノ”という物があって、それにはイるものとイらないに分かれると思うんだ。ねぇグリーン。そうでしょう?これは正論で、あなたのが異論。私が合っていて、あなたが間違っている。なのに、どうして必死になって否定するの?


「俺には、お前が分からねぇよ」
「私も、グリーンが分からない」
「何でそうなるんだよ?!“要らない”ものにだって、ちゃんと存在価値があるはずだろ?!」
「価値、ねぇ」


聞いていて、腹が立ってくるよ。それでも成績優秀な私のクラスメイトなのか。笑わせてくれる。そうだよね。グリーンに分かるはずがない。所詮は頭の良いグリーンと宿題を出さない不真面目生徒の私。頭のレベルが違う。

だからこそ。私にはあなたが分からなくて、あなたには私が分からないの。


「グリーン。人を殺したことはある?」
「は、はぁ?あ、あるわけねぇだろ…」
「じゃあ私を殺して」
「はぁ?!」


あからさまに驚いている。そりゃそうか。私たち未だ高校生だもんね。


「もう要らないよ」
「え?」
「もう、“イらない”の」
「何が…」
「私にはもう、グリーンなんてイらないの」


大きく瞳を見開き、絶句するグリーン。だから言ってるでしょう?私が正しくて、あなたが違う。私のが正論で、あなたが異論。


「私にはもう、グリーンなんて、イらないの」
「な、何で…」
「だけど…グリーンにも、私なんて“イらない”でしょう?」


君に必要とされず、君を必要としない私なんて、君の手で殺してくれたらいい。それなら本望。至上の喜び。ほら聞こえてくる。世界から嫌われた私を、イらないって叫んでいる声が。


「ほら、カッターは貸してあげる。これ使ってよ」
「お、お前本気で言ってるのか?!」
「本気。本気だよ。さぁちゃんと握って。ヤッチャッテイイヨ」
「や、止めろ!俺に近づくな!!」


ただあなたが刺しやすいように近づいてあげただけなのに。私は突き放され、体のバランスを取れず、そのまま…その後は、覚えてないなぁ。あぁでもこれで宿題出せないね。



数日後。


「先生それであの…名前は…?」
「机にぶつかった時の衝撃が強かったらしく、記憶が…」
「そう、ですか…」


俺が名前を突き飛ばして、名前は机の角に頭をぶつけ、意識不明になり、病院に運ばれた。2日前に意識を取り戻し、突き飛ばしたことや色々なことを謝りたくて来たのに。彼女は何もかもを忘れてしまっていた。

俺のせいであるのは確かで、何度も名前両親に謝った。二人は少し疲れたような顔で、「気にしないでください。事故ですから」と言ってくれるのだが…名前の病室に入り、中をのぞき込む。するとひょこりと顔を飛び出させ、俺を見るとにっこりと笑う。


「こんちにわ、グリーン」


背筋が凍り付いたような気がした。


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