※ベルトルさんが変態/ちょっと破廉恥R15くらい?




何度かこんな雰囲気になったことはある。そうすると決まって私は流されてしまうから今日こそは、と無駄な決意をしてみたり。大人っぽくて優しくて、穏やかな人。一度ライナーが「でもあれはムッツリだからな」と笑っていたのを毎回思い出す。ベルトルト君は意外と、というかやっぱり彼も男の子だったらしい。なんだか失礼な物言いだけどイメージとはかけ離れていたのでそう思ってしまったのだ。でも実はそんな彼も好きだなと思うくらいに私は同時に幸せも感じていた。

ちょっと、と頭を押してもあと少し、なんて言うからどうしようもない。今私はベッドに座るベルトルト君の膝の上に座っていて、うなじから肩あたりに顔をうずめられたままで居る。逃げたいけれどわりと強い力で後ろから抱きしめられて居るのでかなわない。私がじたばたしても彼は力をゆるめてはくれず、私は仕方なく抵抗を止めた。お腹に回された腕が熱い。

「シャンプー変えた?……良い匂い」

ボソボソと顔をうずめたまま喋られてくすぐったいんだかなんだかぞわぞわしてますます動けなくなる。すん、と彼がまた大きく息を吸った。彼の息遣いが、唇が、そのまま肌に触れていて心臓は煩いし顔は熱い。きっととっくに私がドキドキしてるのなんてお見通しだろう。とにかく早く現状から逃げたくて仕方なかった。んー、と彼が若干眠そうな声で顔をうずめたままわずかに摺り寄せてきた。何この人可愛すぎなんだけど。しばらく無抵抗でいたらそのまま顔を滑らせるようにして耳の後ろに彼の鼻が当たった。呼吸がより大きく聞こえてぞわぞわと背中が痺れる。

「ちょ、っとベルトルト君…」

「ん?」

腕をはがそうと試みるけど彼は生返事だけ。そのうち耳の後ろがどうにもくすぐったくなって身を捩った。

「くすぐったいから…」

「くすぐったいから、何?」

続きはと言わんばかりにわざとらしくボソボソと喋る。息が耳に当たってぞわぞわとした感覚は強くなっていくばかりだった。

「そっ、そこで喋らないで……」

彼は少し笑って可愛い、と呟く。

「……っ……やだ、待って…んっ」

耳の後ろをしつこく舐められてぞくぞくする。少しでも逃れようと身を縮めても追いかけるように彼の舌はひたすら舐め続けてきた。

「セシリアって…んっ……耳の後ろ、弱いよね…」

合間に言葉を挟みながら舐めてくるから力が抜けそうになった。彼の低い声は凄く好きだけど無駄に色っぽくて腰にくるのだ。やっと舌が離れたかと思ったら今度は首にキスをされてそれだけではもちろん終わらず、何度も何度も執拗にキスをしてきてだんだん触れるだけだったそれは唾液の音がし始めて背骨を浮かせる。腕が外れて無理やりベルトルト君の方を向かされると熱に浮かされたような視線とぶつかった。名前を呼ぶよりも早く唇をふさがれて呼吸する間もくれないくらいキスをしてくる。厚い胸板を無理やり押して酸素を吸おうと口を開いたら舌を入れられた。ねっとりと絡められて本当に力が入らなくなったのにそれでも彼は離してくれなくて頭の後ろと頬に手が添えられたせいで逃げることも出来なくて、だんだん頭がちかちかして熱くなって来る。そのうち気持ちよくなってしまったものだから収拾がつかない。どれくらいたったろう、唇が離れて彼が満足そうに笑った。

「……ベルトルト君がこんなに変態だとは思ってなかった」

「ごめんね」

そう言いつつそのままひょいとあっというまに押し倒されて私は今日もダメだったなあと思う。でも悪い気はしない。それよりも私を見下ろす彼の顔が私のよく知る彼ではなくすでに1人の男の人だったからその熱っぽい視線にすらぞくぞくした。

「そういう顔わざとしてる?」

どんな顔だろう、と思った。きっと私も熱にうかされたみたいな顔してるんだろうな、と思う。

「……ね、ちゅーしよ」

そう言うと彼は少し驚いた顔のあとすぐに噛み付くようなキスをしてきた。体がもう期待で熱くなってきていてちょっと荒々しい彼がどうしようもなく愛おしい。彼の首と後頭部にゆるりと手を伸ばすとますます激しくなるキスにひたすら幸せを感じていた。私も大概変態なんだろうなと思う。

彼がセシリア、と囁く。するりと骨ばった大きな手が服の下に入ってきて肌を撫でた。


130527


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