いきなり何を言い出すんだこいつは。何を考えているんだ。
「お前のことが頭から離れない。けど、俺は男を好きになったことはない。だから分からない」
「それを、俺に告げる理由は何だ」
「お前のことが好きかもしれない。だから、お前を抱かせて欲しい」
それが、どれだけ残酷で、どれだけ俺を傷付けるのか分かっているのか？
「ノンケは相手にしないと決めている」
「でも、俺に抱かれたいと思ったんだろ。それは俺の思い過ごしじゃないよな」
「あれはお前がこっちもイケると勘違いしたからだ」
「じゃあ何で泣いたんだよ」
あのとき、ひたすらに恥ずかしくて悲しかった。これほどまでに、昔の男に固執して、鉢屋に気を許してしまっていることが。
「身勝手だとは分かっている。でも、分かるだろ。このめんどくさい男に腹くくらせるには、これくらいしか方法がないんだよ」
「…ほんとに身勝手だな」
「済まない」
「それでやっぱり無理でした。とかなったら、どんだけ俺が傷付くか分かって言ってる？」
「分かってる」
真っ直ぐにこちらを見詰めて、それからヘラッと笑った。何となくそれに毒気を抜かれて、破れかぶれに分かったと言ってしまった。分かった、いいよ。と。
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