さて、これで鉢屋三郎と久々知兵助の出逢い成り立ちの話は仕舞。残るは消えた二人が何処へ向かったか。簡単だ。彼らは人を殺しに向かった。三郎の顔を暴こうと画策する二人は、声を上げる暇すらなくかどわかされて殺された。ぎらぎら輝く瞳は果たして人か獣か。殺され喰い散らかされて見るも無惨な最期を迎えた。
 二人は殺して血に濡れる。濡れたままに身体を交わす。それはまるで儀式のようで。こうして互いの生をを確かめ合う。殺して喰ってまぐわること。飼い殺されそうになる度に、繰り返される禁忌の儀式。

 鉢屋三郎の素顔を知るものはいない。久々知兵助を除いて。何故ならば知った者、知る者は皆こうして儀式に巻き込まれてきたからだ。知ろうとする者すら喰い千切るこの者達に手を出そうとする者は、いない。


 世の中、知らぬがいいこととはこんなものだ。



後書
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