どうしてと問うたところで答えの無いことなんぞ知っていた――


 武家に妾の子として生まれた。次男だった。母は、家に入って早々に父以外の男と関係し、姦通の罪で家を追い出された。久々知家の嫡男は病弱だった。祖父は早世し、父も長く生きられないだろうと言われていた。実際、二年生の冬、病から命を落とした。それでも長男たる兄が十七になるまでは生き長らえたのだから、長い方なのだろう。俺は、学園を卒業したら家に戻り、妻を娶らず子をなさぬ条件で家臣として迎えられることが決まっていた。いつ亡くなるか分からぬ兄である。万一世継ぎの無きまま逝くことのあれば、俺が家督を継げばよいと、世話人共は考えたのだろう。しかし、兄は咋冬に男児を得た。同時に俺は用済みとなった。
 用済みになったことを自由になったとは思えなかった。いきなり放り出されて、やりたいことなど見つからなかった。将来が自分に開けていると、感じることはなかった。同時に、そうやって放り出された瞬間、何もかもを見失う自分が情けなかった。言いなりになってただ生きてきただけだと、死んでしまいたいくらい情けなかった。


 泣いたところで、何も変わりはしない




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