寝苦しくて目覚めればそこに兵助がいた。そこってつまり腹の上。

「何してんだよ」
「ん。俺気付いた。俺三郎のこと好きだ」
「告白をありがとう兵助君。でも私の質問に答えろ」
「あぁ。だから夜這い」

何がだからだ。何でそうなるんだ。こいつ頭おかしいんじゃないのか。

「とゆうわけで三郎。覚悟」

言うなり兵助はこちらの夜着を肌蹴た。ちなみに目覚めてからこの瞬間まで表情は一切変わらず無表情だ。正直、かなり怖い。

「待て待て!!私は襲うのは好きだが襲われるのは嫌いだ!!」

下帯に伸びていた手が止まる。何をするつもりだったのか問い詰めたいが、無表情でさらっと爆弾投下されそうなので堪える。
兵助はしばらく何事か考えていたが、やがて私の上から退いて、隣にごろりと横たわった。

「じゃあ襲って」
「それは襲うって言わねぇよ」
「大丈夫。俺演技は上手いから」
「演技かよ!!っじゃなくてそういう問題じゃねぇよ!!」
「三郎は要求が多いなぁ」

…こいつと会話すると、疲れる。

「お前な、大体、私がお前を好じゃなかったらどうすんだ」
「え?この学園に俺を嫌ってる奴なんていないよ?」
「何だその無駄な自信!!」
「冗談」
「……」
「でもほら、勘ちゃんはハチとくっついちゃったし、雷蔵は中在家先輩の嫁だから、三郎の選択肢俺しかないじゃん」
「他にも選択肢はいっぱいあるだろう!!何でわざわざ男を選らばにゃならんのか!!」

あぁもぅ。天然なのか電波受信してんのか分からんが、めんどくさい!!
兵助はまたのそのそとのし掛かってきて、言った。

「じゃあ、嫌いでもいいから、キスして」
「何で」
「一回だけ。そしたら、もうこんなことしないから」
「……分かった」

本当だろうなと念押しして、そっと唇を寄せた。触れるだけのそれ。数秒後、唇を離すと、それまでの無表情がにっこり笑った。

「わがまま言ってごめん。ありがとう」

その笑顔が何故か妙に気になってしまい、結局奴がいなくなった後も眠れない夜を過ごすのだった。でもだからってあんな奴を好きになるなんてあり得ないけど!!




一方、五い
「勘ちゃん!!言われた通りにしてきたよ」
「おぉ。どうだった?天然作戦」
「うんいい感じ。最後のギャップに嵌まってるみたい」
「ちゃんと可愛い顔してきた?」
「バッチリ。でももう少し悲しい感じも出した方がいいのかな?」
「それは次の段階だね〜」
「ふむふむ」
「次は、天然無意識に近寄る→理性で離れるの繰り返し。んで離れる時に悲しげな照れ笑い」
「了解。勘ちゃんありがとう!!」
「どういたしまして」



――
勘ちゃんプロデュース三郎攻略大作戦
いや、一個前が余りにも暗くて、明るいのやりたくて…
ウチでは珍しい(似非)天然豆腐でした



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