「で、終わってればこんなにお前の評価も下がらなかっただろうに」

あの夜、三郎を探し回って疲れ切って部屋に戻れば、後ろからこの馬鹿に抱き付かれた。

「いやぁ、覚えられてるか不安だったから」
「アホか」

忘れるわけないだろうと言えば、ニヤリ笑う。その目は強い光でもってこちらを見詰めていた。


こいつの目は手術で治る類いだったらしい。そこでサーカスで金を貯めて、見えるようになって一番に俺のところに来たそうだ。曰く、何よりもまず兵助の顔が見たかった。疲れもあって、それを聞いた瞬間容赦ない右ストレートを決めてしまったのは苦い思い出だ。

そんな夜から共に暮らし初めて大分過ぎた。もどかしさも喪失感も遠い昔。
でも、今でもたまにオムライスを作る。あのとき何を書いたのかは口が裂けても言えないが、奴はしたり顔でニヤリと笑って、少し歪んだハートマークをケチャップで書く。
見えない頃の方がまだ可愛いげがあったと、書かれたハートを伸ばしながら思う今日この頃だ。



――
思いの外長かった…
本来ならばバッドエンドだったのですが…無理でした。
やっぱり鉢くくはラブラブがいい。
しかし自転車乗りの癖にほとんど自転車乗ってない三郎。
残念感が満載ですね。

ちなみに、下調べなど一切していない一日仕様(本当に残念です。すみません)のため、手術で治せる全盲があるのかどうかは知りません。
パラレルですので鵜呑みになさらぬよう。




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