もてあそんでいた青いライターがころり落ちてふと我に返る。終わりを告げたのは俺で、それを受け入れたのはあいつ。つまりは同罪。強いて言うなら、完全なる終止符を打ったのがあいつである以上、あいつの方が罪が重いのではないか。
例えば目。真っ直ぐな視線。射殺すような、というわけではない。透徹な、硬質な。
例えば声。感情に乏しく雄弁な矛盾と、居心地の悪い心地好さの矛盾で二重奏。
例えば指。ひらひらと動くくせに、すがり付くようにしか触れられない。そんな触れ方しか知らなくて。
そうだ。俺はあいつを知っていて。そんな風に観察していて、そしてその結果として身体を重ねた。ただ、そうするのが自然と思えたから。あいつも自然だと思ったんだろう。決して拒みはしなかったし、それはここ数回の逢瀬でも変わらなかった。そしてやはり、この辺りで終わらせるのが適当だろうとお互いに思った。
ライターはあいつの忘れ物。えらく気に入っていたのか常にセヴンスターの横にはこれがあった。今頃小さく舌打ちをして、フィルターを噛み締めているんだろう。そこまで考えて、大きな波が。感情の、揺り返し。
馬鹿みたいだ。失って気付くなんて柄じゃない。こんな風に動揺するなんて馬鹿みたい。
俺が、兵助に恋していたなんて
溺れ死ぬなら
蒼い 蒼い
愛に
titled by hakusei
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