今日、お前から899個目の嘘を聞く



お前は本当に、洒落にならないくらいの嘘吐きだよな。
仲の良かった雷蔵に引き合わされた時の第一声「つまんない奴に興味はない」とか。すかした振りして食い付きそうなくらいこっち見詰めて何言ってんだよ。余りにも分かりやすいものだから思わず鼻で笑っちまった。
怪我して医務室に籠ってたとき、俺より青い顔して汗だくで駆け込んできて「別に心配してない」とか、本気でお前の頭を心配したよ。嘘吐きの癖に嘘が下手なんだよ。あと、「この世で一番大事なのは雷蔵」ってのは流石に嘘だと見抜けなかった。寧ろすとんと納得してしまって、後から一緒に暮らしたいって言われて理解に苦しんだ。
あとは何だ。「女遊びしてきた」とか「町で男に声かけられた」とかはいろいろ聞いたなぁ。構って欲しいなら構えって言えばいいのに。妙なところでカッコつけようとするから喧嘩しなきゃなんねぇんだろうが
特にあれは酷かった。「別に、お前なんてただの暇潰しだよ」って。嘘だって言われた瞬間分かったけれど、どうしようもなく悲しくなった。何でそんな嘘吐くんだよ。俺、そんなに重かったか?やけっぱちで今まで共に生きてやった。
約束なんか反故が前提だよな。「話せる範囲で忍務を話す」が二週間で破られたときには殺意が湧いた。俺も忍の端くれだから知ってるんだよ。生死の境で「大したことない」とか手、震わせながら言うもんだから、こっちまで怖くて堪らなくなった。お前が死んだら俺はどうすればいいんだろうって、本当に怖かった。
お前が嘘吐きだって、俺は知っている。だから「生還出来ない忍務は受けない」約束も破るだろうと思っていた。どんな忍務なのかもどうにかして調べ上げたんだ。

今からお前の最後の嘘を聞く。
「お前を嫌いになった」
お前の身勝手で傲慢で、俺を大切にし過ぎる性格から鑑みるにそんなところだろう。静かに聞いてやるよ。お前は嘘を吐くときは滅茶苦茶カッコいいんだ。でも普段の少し情けないお前の方が好きだよ。だから、情けないお前に真実の告げ方を教えてやるさ。死なせはしない。俺がそうさせない。


そんな嘘吐きだけれども、何度となく聞いた
「愛している」
は、真実だって知っている。

愛しているよ。三郎。



――
書き逃げします(←)
いつかきちんと形にしたいんですが、脳内を踊り狂う桜とかゲイとか狐をどうにかしなくちゃなので…
ちなみに隠翁が死ネタダメなので、ちゃんと生きて帰ってきます。




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