「兵助…」

「伊助ならいったよ」

「そうか…」

「最期まで、俺が力になってやれることはなかったな」

「そんなことはないさ」

「お前はそう言うが。なぁ、三郎。実際、こうなってしまった俺たちに、何ができる」

「それでも送り出してやったんだろう?」

「ああ」

「なら、それで充分だ。伊助だって分かってくれる」

「…三郎」

「……」

「無駄だと分かっちゃいるんだが、祈らずにはいられないんだ。あの子のゆく道に、せめてささやかな安らぎあらんことをって」

「兵助」

「それしか、俺にはできなくて。先輩として、してやれなくて」

「なぁ、兵助」

「何だよ」


 ―泣いて、いるのか








うつらうつら漂うかな

三途にて待つ死人が二人



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