「まるでトランプタワーのような関係だな」

 男はにやりと笑ってそうさと答えた。

「全くもって危なっかしい」

 嘆かわしい。と同じ形に言葉は響いた。



「まるでトランプタワーのような関係だな」

 男は投げ遣りな無表情でそうだと答えた。

「何のことはないただの徒労だ」

 虚構だ。と同じ響きで口が動いた。



 男は言う。

「危なっかしいのは慣れるまでさ。震える手で慎重に積み上げて行くのも、そのうちただの単純作業になるんだ」



 男は言う。

「徒労だなんてわかっている。それでも積み上げたてっぺんからの眺めは、きっとそう悪いものじゃないだろうな」



 二人は言う。

「危うい関係を積み上げたその上で、同じ光景を見る一瞬の満足感と、崩落の莫大な浮遊感に溺れて墜ちられるならば、それは何よりも幸せだ」





緩慢に心中する恋




memo-title
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -