今日、お前に899個目の嘘を吐く



よくもまぁ今までこんなにも嘘を吐いてきたものだ。
初めて吐いた嘘は初対面時、「つまんない奴に興味はない」っての。あれ、嘘だよ。本当は、秀才で少し天然で、この上ないほど綺麗なお前に興味津々だった。
お前が課題で怪我して帰ってきたとき、「別に心配してない」って言っちまったけど、あれも嘘。本当は心配し過ぎて吐きそうだった。ついでに、「この世で一番大事なのは雷蔵」ってのも嘘だからな。まぁこれは、お前と一緒に暮らしたいって言ったときにバレただろうけど。
他にもいっぱい嘘吐いたなぁ。「女遊びしてきた」とか「町で男に声かけられた」とか。あれは私が悪いんじゃないぞ。お前が構ってくれないのが悪いんだ。
「別に、お前なんてただの暇潰しだよ」ってのは流石に酷かったと反省してる。あんなに哀しい笑顔はもう見たくない。でも、私の本心は分かっているんだろう。だから今まで共に生きてくれたんだよな。
嘘になってしまった約束もいっぱいある。「話せる範囲で忍務を話す」とかな。秘密にしてたけど、生きて帰れたのが奇跡みたいな忍務もあった。酷い怪我に「大したことない」なんて言ったけど、正直滅茶苦茶怖かった。お前を悲しませるかもしれないことが怖かった。
悪いな。私は嘘吐きなんだ。だから、「生還出来ない忍務は受けない」約束も嘘にしてしまった。きっと、次の忍務で私は死ぬ。

今からお前に最後の嘘を吐く。
「お前を嫌いになった」
お前は身勝手だと怒り、悲しむだろう。そして私のことを忘れるだろう。それでいい。馬鹿な嘘吐きのことなんて忘れてしまって、あとは幸せな生を生きてくれ。思い出してくれなくていい。それが、死ぬであろう私にとっての幸福だ。


こんな嘘吐きだけれども、何度となく告げた
「愛している」
は、真実だからな

愛しているよ。兵助。




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