どうにも気持ちが悪い。
 ひたすら横薙ぎの単調な斬撃は、しかしその遠心力と刀の質量から打ち合うのがやっとだった。かわそうにも受け流そうにも、速い回転と小手先で変わる軌跡に反応が追い付かない。刀だけに囚われようものなら細針を仕込んだ黒髪が視界を覆う。
 じり、と手が痺れを帯びた。そもそもこういった戦い方は不得手である。絶対的な筋力の足りなさ。別の手法で補うように鍛錬してきたのだが。こいつはそれらを全て封じにきている。だからといって、いつまでもこのような打ち合いをしているわけには行かない。
 左足に重心を移し、真っ向から打ち留める体勢をとる。

 それを 待たれていた

 深い踏み込みからかち上げる一撃。鍔を狙ったそれは疲労を積み重ねていた両手からあっさりと刀を弾き飛ばした。伴って投じられる相手の刀。それを認識したところで、潜り込んで来た久々知の寸鉄が鳩尾に突き刺さった。




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