彼らを歯車に見立ててみる。それらは大きさも形も色も材質もまちまちで非常に個性的だ。かちかちと音を立てて回る歯車たちは、時折速くなったり遅くなったりするが、それでも最終的な回転数は同じである。
 だが彼は、やはり非常に個性的に見えるが、注意深く観察すればそれが他四つの平均であることが分かる。四つが違いすぎる故に、間を取ったところで誰も気付かないのだ。またその回転は、他同様速く遅くを繰り返すため分かりづらいが、他よりも単位時間に対して一つくらいのほんの小さな差が存在する。かちかちと回るにつれて、ほんの少しずつずれてゆくのだ。
 要するに彼は異質であったのだろう。皆に同化したくてできず、また五年の歳月は回転数の差を広げた。彼は自分が異質であることを認めずにはいられなかった。

 上記は、あの事件を、恐らく一番外側から見ていた私の私見である。彼らにはきっとそんなことを考える余裕すらなかっただろう。先輩の身としても、胆の冷える思いをした。
 始まりは晩秋、いい加減木々が葉を落とすころの朝であった。




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